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コラム
2017年8月31日

和知人形浄瑠璃

和知人形浄瑠璃会会長 大田喜好さんに聞く

大田喜好さん演じる「榮御前」(さかえご ぜん)

農村の“人形遊び”から 民俗文化財へ

「和知町」は京都府の真ん中あたり、黒豆や栗で有名な京丹波町の北部に位置する農業のまちであり、かつては京都と山陰を結ぶ街道の宿場町として栄えた。伝統芸能が盛んで、和知太鼓、人形浄瑠璃、文七踊り、小畑万歳は「和知4大芸能」と呼ばれ、親しまれてきた。なかでも和知人形浄瑠璃は、150年以上の歴史を持ち、現在も町内で毎月定期公演が開催されるなど、地元の誇りとしてすっかり定着している。

浄瑠璃(三味線と語り)に合わせて人形を操る人形浄瑠璃は、一般的には1体の人形を3人の人間が操るのだが、和知人形浄瑠璃は、1体をたったひとりで扱う。しかも人形は大振りである。これは、全国でも珍しい形態であるという。当然のことながら難易度は高くなり動きへの制約も生じてしまうのだが、逆に、すべて一人の人間の感性で手足や顔(目)を動かすことによる統一感も代え難く、感情表現のリアリティが高まるという利点もあるという。

現在、浄瑠璃会のメンバーは14名で、三味線が2名、語りが4名、そして人形遣いが8名である。上演が可能な演目は8題目あり、うちひとつは30年前に誕生した和知オリジナル(長老越節義之誉)であり、通常30分ほどのものが多いなかで、この作品は1時間半にも及ぶ大作であり、いまも人気が高い。

人形の魅力のひとつは、頭(かしら)にある。50体ほど保管されているなかに、阿波人形の名工・天狗屋久吉の手によるものも多く、精巧な造りと美しさはまさに芸術品。目と口、眉などが動く仕掛けになっており、鯨の髭で作られた糸を巧みに操り、喜怒哀楽の感情表現を作り出す。現会長の大田喜好さんは、この道半世紀のベテランであるが、いまもなお演じるたびに新しい発見や喜びがあるという。それほど、経験と熟練を必要とするということだ。

「伽羅先代萩」(めいぼくせんだ いはぎ)でのクライマックスシーン
浄瑠璃会のメンバー

江戸時代末期、農家の閑散期に嗜(たしな)んだ「人形回し」が、明治初期には芸団が結成されるほどになり、さらに大阪の文楽に携わった熟練者が加わり発展を遂げてきた和知人形浄瑠璃。まちの過疎化の進行のなかで、その継承のために若い世代に興味を持ってもらおうと、和知の小中学校では正規の授業の中に人形浄瑠璃を取り入れている。実際に毎月の定期公演に参加できるレベルに上達する生徒も現れはじめ、後継者不足の悩みにも一筋の光が見えはじめた。この貴重な文化を、和知町で、その自然や農作物とともに味わえば、よりいっそうの親しみがわいてくる。


出典:『京都文化力プロジェクト2016-2020 機関誌 vol.1』「五感で知る、京都。」

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