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コラム
2018年2月19日

菊乃井 村田吉弘さん

菊乃井 村田吉弘さん

菊乃井 村田吉弘さんに聞く

2013年12月、日本の伝統食である「和食」が、ユネスコの無形文化遺産に登録された。これに尽力したのが、ミシュランで三ツ星の評価に輝いた京料理店「菊乃井」の村田吉弘店主である。 世界に「和食」の名が轟き日本食のブームが巻き起こっている一方で、日本の食生活の西洋化は進行の一途をたどっている。

村田さんは言う。

「無形文化遺産申請の時に、『日本人は自国の“食”にあまり関心がないように見えるのに、それを世界の遺産に登録したいとあなた方は思っているのですか?』というようなことを言われまして。たしかにそのとおりだ、それではいけない、と強く思いました」。 
村田さんがかつて留学していたフランスでは、国民がみなフランス料理を愛し、フランス料理が世界で一番であると信じ込む、そういう文化風土であったという。日本はおよそ、それとは趣を異にする。「食べる」という生きるために不可欠な行為であるにもかかわらず、食事にあまり興味を持たない人が多い。

「食というのは文化なんです。生きるために食べるという、それだけにとどまるものではないのです」。

さて、どういうことだろうか。

ある地域の子どもたちが、学校給食あるいは家庭の料理で、その地域で生産されている米や野菜を食べる。新鮮でおいしければ子どもたちは喜んで食べ、関心を持つことで低農薬、有機肥料栽培といった背景も知ることになる。それが地域の誇りへとつながり、産業は発展し地域が活性化する。さらに、こういった事例が日本のさまざまな地域で再現されるようになると、必然的に日本人の食への関心が高まり、すぐれた食材や料理がどんどん誕生する。 地産地消といった社会・経済活動にも つながり、「第一次生産者―地方行政― 国」の三位一体が強化されていく。「生きるために食べる」だけではない、「食」を通じた経済・文化活動の在り方が示唆されるというわけだ。

「そこで、私たち料理人の役割は何かといえば、ズバリ“食育への貢献”でしょう。食育っていうのは、必ずしも学校教育の中でだけ行われるものではない。家庭でも、街のレストランでも、会社の社員食堂でだってできることなんです。ただ、ほんとうにおいしいものが提供されなければ、説得力は弱いまま。そこなんです、われわれの出番は。自分の店でだけおいしい料理を出せばいいという時代は終わった。日本人、とりわけ子どもたちに日本食の良さをどう伝えようか、美味しい料理を作れる人は、そこまで考えて実行に移していかないと」。 
“食”の周囲には、さまざまな文化がある。食器、テーブルセッティング、 什器、照明、音楽…、食事シーンを演出する要素の部分にも、料理人自らが感性を発揮していくべきなんだ、と。村田さんが期待する料理人像のハードルは高いが、ゆえに大きなやりがいと達成感が得られることもまた事実であろう。

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