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コラム
2018年4月23日

【胡粉と創造】中川 晴雄さん

ナカガワ胡粉絵具株式会社 代表取締役・中川 晴雄さん

数百年を経ても輝き続ける白。後世に残る日本の美術・工芸を支える顔料を作る。

雛人形の顔に能面、日本画や神社仏閣の彩色に用いられる清々しくも柔らかな白色。それは貝殻などを砕いた粉から作られる顔料で、胡粉と呼ばれる。

「宇治は、江戸時代から胡粉製造の盛んな地域として全国に知られてきました」と、ナカガワ胡粉絵具株式会社の代表取締役・中川晴雄さんが歴史をひも解いた。 

胡粉は、正倉院伎楽面に使用されたことが発見されているほど長い歴史を持つ。 室町時代から絵画や建造物の彩色に使われる他、工業材料としても用いられた。中でも天然のイタボガキの殻だけを原料とする京胡粉は最高級品とされ、一流の絵師や職人に重用されてきた。

数百年を経ても失われないその輝きは、途方もない時間と労力によって作られる。まずイタボガキの貝殻を天日にさらして風化させ、炭酸カルシウムなどの堆積層を形成させるのに10年余り。その後、粗く砕いて水と練り合わせ、石臼でさらに細かく粉砕する。最後に水中に沈殿・たい積させたものを天日で乾燥させ、ようやく完成する。ナカガワ胡粉絵具は、今も伝統的な製法を守って胡粉製造を続けている数少ない企業だ。「神社仏閣の壁画や襖絵の修復、伝統工芸品の製造に京胡粉は欠かせません。こうした芸術を後の世に残していくために、胡粉を作り続けることが私たちの使命だと思っています」と中川さんは覚悟を語る。 

胡粉と同じく岩絵具も日本画に用いられる貴重な材料だ。天然の鉱物を砕いて作る天然岩絵具に加え、釉に金属酸化物を混合し、高温で溶かして天然鉱物に近い原石を作る新岩絵具がある。ナカガワ胡粉絵具では、粒子の粗さを緻密にコントロールすることで多彩な色や濃度を生 み出し、1,400種類もの岩絵具を揃える。さらに新しい岩絵具の開発も手がけている。「現代の日本画は、化学物質に晒されています。密閉率の高い住宅で、耐火材や石膏ボードなどから発する微量のホルムアルデヒドや排気に含まれる硫化水素などが少しずつ膠に蓄積して岩絵具の退色を招きます。そこでこうした化学物質に耐性の強い岩絵具を開発しました」と説明した中川さん。

伝統的な製法を守り続ける京胡粉と現代の環境に適した新たな岩絵具の両方で日本の美術・工芸の今を支えている。


出典:『京都文化力プロジェクト2016-2020 機関誌 vol.2』「新たな想像力に触れる」

 
 
 

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