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コラム
2018年5月10日

【織物と創造】楠 泰彦さん

クスカ株式会社 代表取締役 楠 泰彦さん

クスカ株式会社 代表取締役 楠 泰彦さん

伝統的な手織りの技術を用いて 現代のライフスタイルに合った製品を作り、伝統産業の息を吹き返す。

奈良時代から1,300年余りの歴史を持ち、絹織物の一大産地として栄えた丹後。しなやかな肌触り、シボと呼ばれる細かい凹凸の乱反射によって豊かで深みのある色を醸し出す丹後ちりめんは、京都市の室町を中心とした問屋に卸され、最高級の着物に仕立てられた。しかし洋装の普及と経済不況によって着物を誂える文化が失われ、かつては一日中機を織る音が賑やかに響いていた機織りの街も、今ではすっかり静かになってしまった。

そんな丹後ちりめんの産地・与謝野町で、今、昔ながらの手織りの技術に現代のファッションを融合させることで、伝統産業の息を吹き返そうとしている人がいる。クスカ株式会社を率いる楠 泰彦さんだ。

「丹後の絹織物産業を次の世代に引き継いでいくには、大量生産の機械織りには真似できないものづくりが必要だと考えました」と楠さん。丹後ちりめんの白生地を製造してきた生家の三代目を継いだ時、思い切って機械織りを止め、「手織り」に一本化した。

工場には今、パタンパタンと心地よい機の音が響く。職人が手機でひと越しひと越し糸を通して織り上げると、糸と糸との間に空気を含み、生地はふっくらとした立体感を持つ。加えて経糸に黒糸を用いることで、絹独特の光沢に深い陰影が重なり、何ともいえない風合いを醸し出す。職人によって糸の締まり具合が微妙に異なるため、それぞれが「一点もの」としての個性を放つのも手織りの魅力だ。

しかし何より楠さんがこだわったのは、「伝統的な織技法を用いながら、現代のライフスタイルに合うものを作る」ことだった。ブランドを立ち上げ、ネクタイなどのメンズ服飾雑貨を中心に商品を開発。「伝統技術を現代のスタイルで活用できるようモダナイズさせる。その名も『リメイクテクノロジー』が、伝統産業を生き返らせるカギでした」と楠さん。商品は今、国内に留まらず、海外のバイヤーからも注目を集めている。京都の着物文化を支えてきた絹織物が、新しい価値を付与され、未来へそして世界へと羽ばたこうとしている。


出典:『京都文化力プロジェクト2016-2020 機関誌 vol.2』「新たな想像力に触れる」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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