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コラム
2018年5月10日

【和紙と創造】堀木 エリ子さん

株式会社堀木エリ子&アソシエイツ 代表取締役 和紙デザイナー 堀木 エリ子さん

和紙の魅力は「移ろい」。 「手漉き」にしかできない表現で 建築空間に独自の環境を創造する。

ガラスのなかった時代、日本の家屋では、障子が明かり取りの役割も果たしていた。「白木の枠に貼られた真っ白い和紙を隔てて向こうに動く人の気配を感じたり、月の光や紅葉の赤が部屋をそこはかとなく照らしたり、障子には情緒・情感を醸し出す日本特有の美しさがあります」。そう語る和紙デザイナーの堀木エリ子さん。 太陽の傾きによって影が伸び、濃淡が変わり、和紙は刻々と表情を変える。堀木さんはそうした時間の経過や光の変化による「移ろい」に和紙の魅力を見出す。

しかしマンションや洋風住宅が主流となり、また安価で大量生産が可能な紙が流通する現代では、和紙の用途はますます少なくなっている。「使い道のないものはやがて滅びてしまいます。和紙を次代に残したいなら、機械漉きにはない特長を生かすしかありません」と堀木さん。手漉き和紙は丈夫で簡単に破れたり、退色したりしない。それどころか長く使うほど風合いが増していく。「長く使う」場こそ和紙の強みを最大限生かせると考え抜いて、たどり着いたのが、手漉き和紙を建築やインテリアに用いることだった。 

堀木さんの制作現場では、縦210cm、横270cm、三畳分もある和紙を10人がかりで漉く。3層から7層も繊維を重ねて漉き上げるのは、技術的にも体力的にも大変な作業だ。さらに層の間に楮の茎を漉き込んだり、独自の手法で水滴をたたき込み、無数の節穴のような模様をつけたり、種々の技巧によって多様な表情の和紙を作る。 

「現代のお客様の要望に、和紙でしかできない表現で応えること」を大切に、現代の建築や空間で生きる作品を作るのが堀木さんの信念。そのためには伝統的な製法だけに固執せず、必要に応じて新たな技術や道具まで開発してしまう。10mに及ぶ巨大な和紙をタペストリーとして吊り下げる作品では、和紙の反りを防ぐためにアルミパイプを漉き込んだ。外壁に使えるよう合わせ硝子加工を施すなど、新しい素材も果敢に取り入れる。 

「オリンピックの聖火台を和紙で作り、日本の伝統産業の魅力を世界に発信したい」と夢を語った堀木さん。想いを形にする力強い言葉と行動力で、未来に生きる和紙を作り続ける。


出典:『京都文化力プロジェクト2016-2020 機関誌 vol.2』「新たな想像力に触れる」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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