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コラム
2020年6月1日

桑原専慶流十五世家元 桑原 仙溪さん

くわはら・せんけい

1961年、大阪府生まれ。1984年、十四世家元の長女櫻子と結婚し、家元を補佐しながら教授活動を開始。古典の継承といけばなの普及に力を入れる。2004年、十五世家元襲名。公益財団法人日本いけばな芸術協会理事、京都いけばな協会会長。

自然を敬い、自然と心を通わせる。
いけばなに凝縮された「和」の精神には
人と人を結びつける力があります。

自然の美しさを器に凝縮する それがいけばなの魅力

自然の美しさを切り取って器に入れることで、そこに新しい命が芽生え、新たな物語を語り始める。器の中の花一輪が、まるでマジックのように自然の真理を物語る。それがいけばなの魅力です。
そもそも「花を生ける」という文化は中国から伝わり、日本で日本的なものに進化を遂げました。その成り立ちには、自然を依り代として崇拝する樹木信仰など、日本人が培ってきた自然を敬う心、自然に対して神秘的な魅力を感じる独自の感性が影響しています。中でも桑原専慶流は、元禄時代(十七世紀)、桑原冨春軒仙溪によって京都で創流されました。立花の名手だった流祖の仙溪は、「型」が重視された当時のいけばなの潮流に対し、枠にはまらない自由な気風を大切にしました。1688(元禄元)年に仙溪が著した「立花時勢粧」という8巻からなる花伝書はその後の華道の歴史にも大きな影響を与えています。
自然の美しさを器に凝縮して表現するのが立花の醍醐味。桑原専慶流では、代々植物の持ち味を生かすことを大切にしながら、流祖の自由闊達な気風を受け継ぎ、新しいいけなばの創造にも挑戦し続けてきました。十五世家元を継いだ私も、花を大切に思い、「どうしたらその花を生かせるか」と考えながら花と向き合っています。

心を込めて生けた花が人と人の心を結びつける

いけばなの最もすばらしいところは、「和」を作り出せるところにあると私は考えています。無機質な部屋でも花が一輪飾られているだけで、こころに気持ち良い風が吹き抜け、その場の空気がふわりと柔らかくなる。誰しもそんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。ただきれいに見せることが重要なのではありません。大切なのは、自然を敬う気持ち、花を大切に生かす心を持って生けること。そうして自然と心を通わせてきた日本人の心のあり様が、その場に「和」をもたらす。そうした力がいけばなにはあります。
たとえ言葉の通じない相手とも、いけばなを通じて心を通わせられるから不思議です。私自身、海外でいけばなを披露する中で、幾度もそんな体験をしてきました。グローバル化が進む現代こそ、世界の人々とコミュニケーションを取り、「和」をもって世界とつながる上で、いけばなが大きな役割を果たせるのではないかと考えています。
千年以上もの間都だった京都には、全国から質の高いモノや技術が結集し、豊かな文化が育まれました。そうした多様な文化が出合って化学反応を起こし、新たな文化が創造されてきた歴史があります。私の若い頃にも異分野交流を通じて自己研鑽する機会がたくさんありましたが、今の時代は、そうした機会も心の余裕も減っているように感じています。豊かな文化もその担い手である一般市民の方々の心が豊かでなければ次代に伝えることはできません。京都が多様な文化が混ざり合い、未来に新たな文化が生まれるところであってほしい。私もいけばなを通じてそれに貢献していきたいと考えています。

花材:紫木蓮 花器:市川博一 作

出典:『京都文化力プロジェクト2016-2020 機関誌 vol.4』「くらしの文化を楽しむ」

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