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コラム
2017年11月15日

京の食文化・食習慣

料理研究家 杉本節子さんに聞く

おこうこのたいたん

「歳中覚(さいちゅうおぼえ)」が伝えるハレとケの食事

1743年から続く名家・杉本家の十代目、先代の次女として生まれた杉本節子さん。杉本家には、先祖代々が日々の暮らしを暦にそって書き記した「歳中覚」が残り、いまもくらしの手本になっているという。

歳中覚には毎日の食事から、家の年中行事までこと細かく書かれている。常(ケ)の日は朝夕茶漬けに香の物、昼は一汁一菜。月3回はお魚料理がついた。質素倹約を旨とし、素材を無駄にしない「始末の心」そのままの内容だ。ケの日の食事には、たいした楽しみはなかっただろうと杉本さん。そのかわり五節句や祭礼をはじめとする年中行事、人生儀礼といったハレの日には、特別な行事食をいただく。また、毎月決まった日に、決まった食材を使ったお決まり料理の習慣も。季節の移ろいや伝統行事を「味わう」ことを通して体感してきたのが京都の家庭の食文化であった。

このような家庭料理と対照的に京都の代表的な料理として確立しているのが、料亭など飲食専門店で供される京料理だ。商いの品としての料理は、「都」であるからこその食材の洗練と卓越した料理人の技によって育まれてきた。そこには、宗教、文化の中心地であることを背景とした精進料理や懐石料理の技術の融合があり、京料理の文化は洗練を極めていった。これも、京都の食文化の誇るべき側面である。

2013年、「和食;日本人の伝統的な食文化-正月を例として-」が、ユネスコ無形文化遺産に登録された。料理だけではなく、食にまつわる習慣が着目されたことに意義があると杉本さん は言う。特に、正月にみんなで集ってお節料理や雑煮を食べるという習慣に日本の食文化が象徴されているというのである。つまりハレとケのけじめがしっかりとある食生活のあり方、すなわち食文化が評価されたのだ。

歳中覚に書き記されているように、毎朝、毎夕、お茶漬けと香の物で過ごすというのは現代の生活ではほぼ不可能だろう。ただ、行事食の習慣は、ハレとケのめりはりをつけるということを思い出させてくれるひとつの要素であることは間違いない。

ユネスコの無形文化遺産登録と時同じくして、京都市が定める無形文化遺産の第1号に「京の食文化-大切にしたい心,受け継ぎたい知恵と味」が選ばれている。

杉本さんは言う。「京都の文化が日本文化の源流であり、とりわけ京都の食文化はひとつの大きな核であると自負しています。京都の食文化をさまざまな形で継承していくことが和食の文化そのものを伝承していくことになるという気概をもって、役割を全うしていきたい」。

小豆ごはん
杉本家のおくどさん

出典:『京都文化力プロジェクト2016-2020 機関誌 vol.1』「五感で知る、京都。」

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