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コラム
2017年12月21日

木の暮らし

日本ぐらし  代表取締役 野間光輪子さん 、京都大学大学院工学研究科教授 高田光雄さんに聞く

日本ぐらし  代表取締役 野間光輪子さん 、京都大学大学院工学研究科教授 高田光雄さんに聞く

家屋自体が生きている!

有史以来こんにちまで、住居の素材の主流であり続けてきた「木材」。ここではまずその「香り」に注目する。

木材は、自らが香りを有しながら、外気も自然に吸収しその空間の香りを作る。たとえば日本家屋における客間では、訪問者を迎える際にお香を焚くなどして空間づくりを行うが、その匂いが木材の柱や壁、そして畳や机、調度品などに自然にしみこんでいく。結果、心が落ち着く自然の香りに包まれた清々しい時間が提供されることになる。鉄骨、コンクリート、ビニールクロスといった現代建築の主役たちでは、到底なしえない演出である。 

野間さん、高田さんは口をそろえる。「木は呼吸をしているんです」。 

なるほど、木造の住まいは、住まい 自体が生きているのか! 

野間さんは続ける。「100年以上経つ建物の改装で、基礎材のヒノキにのこぎりを入れたことがあって、そうしたら、中は油ぎったきれいな色で、すごい香りがしてビックリしたんです。うわっ、生きてる、って」。高田さんはこれを料理になぞらえ「住宅におけ るかくし味みたいなもの」と表現する。

「最近はね、みかんが、ほんとにみかん箱に入っているのをあまり見ないでしょ。ビニール袋や段ボールに入っていると腐敗が早いのに、木箱に入ったみかんはずっと状態が維持されます。木のおかげで空気がいつまでも新鮮に保たれるんですね。自然の力ってすごいな、と思います」。 

住宅も、みかん箱と同じことがいえるのだ。木造住宅では、木が呼吸をしていることで、人間や生命体と有機的になじむような自然の空間が保たれるのだと高田さんは説明する。 

もうひとつ、木が作る空間の魅力に ついて、二人は続ける。 

「隣りあう外部空間との関係性にも意識が向く、というのがとても重要なことだと思います。たとえば、近年のマンションなどは、外部空間(コミュ ニケーション)と物理的にも精神的にも“隔絶”しています。現代社会においては、その隔絶を望む人もいます。 しかし、木の住まいは、窓を開けると庭があり空が見える、天気がわかる、季節の匂いがする…、ひとときとして同じではない」。

洋風建築全盛の時代であるが、そういうところに価値を見出せる暮らしのための環境がまだある都市は…そう、京都である。和の暮らしがまだできる、和の暮らしが似合う、和の暮らしをしたいと思える環境がある。ただしそれには、住まい手が“手間ひまをかけ”て“住みこなして”いくことが、同時に求められる。

「山紫水明の都・京都には、先人たち が長い歴史の中で積み重ねてきた“和 の暮らし”の歴史があります。“手間ひまかけること”を積極的に楽しむ意味や価値がいっぱい詰まったまちなんですね」。 

京都には、来訪者も体験できるような「木の暮らし」が、まだまだ残っているのだ。

写真すべて:祇園新橋にある「日本ぐらし館」

出典:『京都文化力プロジェクト2016-2020 機関誌 vol.1』「五感で知る、京都。」

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