• 日本語
  • English
  • 简体中文
  • 繁体中文
  • 한국어
  1. HOME
  2. コラム
  3. 京焼・清水焼
コラム
2018年1月25日

京焼・清水焼

洸春陶苑 高島慎一さんに聞く

香老舗  松栄堂 代表取締役社長 畑正高さんに聞く

凹凸から伝わる作家の息づかい

京都は古くから、全国から焼き物が集まる市場だった。桃山時代の茶の湯の流行により陶器製の茶道具が作られるようになり、茶人や宮廷、社寺へ献上されるようになった。江戸時代になると、野々村仁清や尾形乾山といった、現在もその名が通る名工が出現、「京焼・清水焼」が産業として確立し今日に至っている。東山の日吉地区で洸春陶苑を営むのは、三代目洸春こと高島慎一さん。祖父に当たる初代は、もともと瀬戸の陶工。独立して京都に赴いた際、陶芸家の山田喆(てつ)から、うららかな春を意味する「洸春(こうしゅん)」の名を賜ったという。

高島さんの作品の特徴は、「いっちん」と呼ばれる凹凸のある細かい文様。焼成前の器に細い口金から粘土を絞り出し、文様を描いていく。その文様が、器を持った時の手触りを決める。 

「粘土が硬すぎると文様に角が立って手触りが悪くなるので、粘土の状態を維持することにもっとも気を遣います」。完成した器は手によく馴染み、紋様の凹凸は触っているだけで心地よく、口に触れた時も平坦な陶磁器とは違う触感が得られる。 

使えばわかる、使えば感じる、こうした“特別感”を、できるだけ多くの人に届けたい、と高島さん。

「ふだん使いしてもらうためには、質を落とさずコストを下げ、ハードルを低くしていく必要があります。たとえば、いくつかの窯元で共同出資して、製造プロセスの効率化に貢献する機械を導入するとか…」。 

技術の高さや歴史の格式に守ってもらおうという発想では、今後、生き残っていけない。受け継がれてきた伝統を絶やさないためにも、一般社会への普及をもっともっと進めていかなければならない。現在、高島さんをはじめ京焼・清水焼の若手作家たちが、市内の料理店の要望に応じ、オーダーメイドで器を制作し納めている。お客さんに京焼・清水焼に触れてもらうきっかけにと、各自の創造性を発揮して意欲的に制作に励む。 

そんな流れの中で、“いっちん”は、“意外な”ところに進出しはじめた。陶磁器といえば「食器」のイメージが強い。あるいは、オブジェ。しかし、そのいずれでもない「実用製品」…、照明や洗面器具である。ホテルの客室に設置されたペンダント照明のソケットや洗面所の手洗い桶に抜擢されたのだ。器としての“いっちん”から姿を変えた“いっちん”に出会うのは不思議な感じがしたが、それこそがまさに狙いであり、京焼・清水焼の可能性なのだ。今後、あちこちに出現するかもしれないこんな“デコボコ”をみたら、洸春陶苑そして京焼・清水焼という産業を思い出していただけるだろうか。

いっちんの制作工程
いっちんが完成するとこのように
ホテルの客室に設置された高島さんの作品
ホテル客室の洗面所の手荒い桶にも「いっちん」が

出典:『京都文化力プロジェクト2016-2020 機関誌 vol.1』「五感で知る、京都。」

あなたは旧式のブラウザをご利用中です
このウェブサイトを快適に閲覧するにはブラウザをアップグレードしてください。